007映画で英語の勉強 …だからと言って、~じゃない という表現
…だからと言って、~じゃない という表現があります。
■because文の後の文に not
まずは、シンプルな形のものから勉強します。
■■Just because…(, it) doesn’t mean ~
Just because…(, it) doesn’t mean ~
…だからといって~なわけではない
・Just because you are older than me, it doesn’t mean you can tell me what to do.
=Just because you are older than me doesn’t mean you can tell me what to do.
私より年が上だからといって私に指図できるということにはならない.
ルミナス英和・和英辞典で、just because や because で検索
このように二つ用例があります。because 節の後にコンマを入れて、because節を it で表して話を続ける用法と、because節そのものを主語にして、その後、直接、doesn’t mean と続ける方法です。
実際の007映画のセリフには後者が使われています。
カジノ・ロワイヤルでは、
007とヴェスパー・リンドはディナーをとってます。007の仕事についての話になりました。
人殺しは気にならないの?他にも仕事はあるわ。(ヴェスパー)
01時間44分56秒
Just because you’ve done something doesn’t mean you have to keep doing it.
何かやってたからと言って、それを続けなければいけないわけじゃないわ。(ヴェスパー)
日本語字幕(戸田奈津子さん)では
別の道を考えていいのでは?
になってます。
こんな例もあります。
■■Just because…, 否定の命令文
女王陛下の007では、
02時間17分41秒
007とテレサの結婚式です。テレサの父親がテレサに言います。
Teresa, just because you’re Mrs Bond, don’t forget my birthday next year.
テレサ、今はボンド夫人になったからと言って、来年の私の誕生日を忘れるな。
日本語字幕(保田道子さん)では、単に、
来年の わしの誕生日を忘れるな
ですが。
これらの …だからといって~なわけではない、はシンプルなものです。
もう少し、ややこしい、…だからと言って、~じゃない、があります。
■not が because文 より先行する文に出てくる
not が because文 より先行する形で、…だからと言って、~じゃない という意味を表すことができますが、ややこしい話があるのです。
not が、because文 の前に先行する文についていると、その not は、文の全体にかかるのか、先行する文だけにかかり because 文にはかからないのかで、二つ解釈があるのです。つまり、…だからと言って~じゃない という意味を取る時もあれば、取らない時もあると言う事です
これについては、
ロイヤル英文法(綿貫 陽/宮川 幸久/須貝 猛敏/高松 尚弘 著)を参考に勉強したいと思います。
I don’t like her because she is conservative.
not が because 文に先行する、I like her. という文についてますね。この文は読み方によって2通りに解釈できるそうです。
a.私は彼女が保守的だからといって好き なのではない。
b.私は彼女が保守的だから好きではない、
前者は、この記事のテーマの …だからと言って、~じゃない に該当しますが、後者はそうではありません。
まず、
a.私は彼女が保守的だからといって好き なのではない。
の解説を見ていきましょう。この場合、not は、like her because she is conservative(彼女が保守的だから好き)というのを否定して、ほかの理由から好きなのだということを表している。この意味では、主節と従節は続けて言い、because の前は軽い上昇調になるそうです。
I don’t like her because she is conservative.
結局この表現の意味するところは、like以降 で、彼女は保守的なので好き、don’t でそれらが否定されて、彼女は保守的なので好き じゃない、となり、保守的だからと言って好き なのではない、になります。
b.私は彼女が保守的だから、好きではない、
の解説です。この場合は、not は 主節の I like her だけを否定してます。言う時には、because の前にわずかなポーズを置き、下降調になる。書かれた文では、a.とb.との区別がしにくい場合があるので、b.の意味では、becauseの前に , を付けたりする。
I don’t like her because she is conservative.
なるほど、つまりこういう事ですね。私は彼女は好きじゃないです。その理由は保守的だから、という事ですね。
しかし、多くの場合、意味が自然な方を選べばよい。
という事です。
さて、それでは、実際の007映画のセリフを見ていきましょう。
黄金銃を持つ男では、
007はスカラマンガの島を訪れます。スカラマンガの従僕がシャンペンを持って現れると、スカラマンガが隠れた場所から、銃でシャンペンのコルク栓を撃ち、シャンペンを泡の吹き出しと共に開けさせます。
銃を手にかけた007にスカラマンガは言います。
許してくれ、ボンド君、低俗な見世物だった、
01時間35分48秒
but I couldn’t resist it because I am so delighted to see you again.
さて、これは、上記a.とb.のどちらの意味か?です。
コンマはありませんでしたが、間を置いて話してました。
but I couldn’t resist it because I am so delighted to see you again.
こんな感じです。そういう意味では、b.ですね。
意味が自然かどうかで判断すると、
a.だと、うれしかったからと言って我慢できた、のではない、になります。まず我慢できなかったわけだし、しかも別の理由があるのかというと、このシーンではそんな様子はありませんでした。
b. だと、我慢できなかったんだ、うれしかったから。
形の上からでも、意味の上からも、こっちの方でしょうね。
日本語字幕(保田道子さん)では、
つい誘惑に勝てなくて
再会に興奮してるんだ
です。
b.ですね。
ですから、このセリフはこの記事のテーマの …だからと言って、~じゃない ではないですね。
慰めの報酬では、
ドミニク・グリーンとメドラーノ将軍がいるホテルの近くに、007とボリビアの諜報部員のカミーユは潜んでます。
007は情報を取るためにグリーンを狙っており、カミーユは父親の仇としてメドラーノ将軍の命を狙ってます。
007はカミーユに話しかけます。
殺しはやった事があるのか?(007)
君が受けた訓練によって、興奮が体内に高まると、それを君は抑えるだろうが、(007)
01時間25分42秒
But part of you is not gonna believe the training because this kill is personal.
さて、これは、上記a.とb.のどちらの意味か?です。
コンマはありませんでしたし、becauseの前に間を置いて話しているわけじゃありませんでした。意味が自然かどうかで判断すると、
a.では、この殺しが個人的なものだからと言って、君の一部が訓練を信じる、ということじゃない、になります。じゃあ別の理由があるのかというと、このシーンではそんな様子はありませんでした。
b.では、君には訓練を信じられない部分があるだろう、この殺しが個人的なものだから。こっちの方が意味が自然ですね。
日本語字幕(戸田奈津子さん)では、
復讐の気持ちがそれを乱す
です。
b.ですね。
と言う事で、not が because文 より先の文に出てくる文はありましたが、この記事のテーマである …だからと言って、~じゃない という表現 はありませんでした。
…だからと言って、~じゃない というのは、なかなか実用的な表現なので使えるようになりたいと思います。でも、私は用法がシンプルで誤解を導かない、カジノ・ロワイヤルで使われていた because文が先で、否定が後に入る Just because… doesn’t mean~ という用例を使おうと思います。
007映画で英語を勉強して、300記事を超えました。好きな映画で英語を勉強するのは楽しいものです。この記事に全体の目次がありますので、ぜひともお好みの記事からご訪問ください。