007映画で英語の勉強 bottled water がバドルド ウォーラー とか、get in がゲリン、t の音が d になったり、日本語のラ行音っぽくなる

t の音が d の音になったり、日本語のラリルレロっぽくなるのは、アメリカ英語において発生しやすい現象だそうです。
それでは、007映画のセリフで見てみましょう。

■t が d になる実例

慰めの報酬では、
01時間21分09秒
It’s bottled water.
これは瓶詰の水さ(ライター)
bottled は、
バトルド でなく、
バドルド と聞こえます。

アメリカのCIAのフェリックス・ライターが話してます。

リビング・デイライツでは、
プーシキン将軍が武器商人ウィティカーを訪ねます。
ウィティカーは昔の戦争シーンを再現したジオラマを見せて、言います。
00時間52分17秒
My hobby – the strategy and tactics of the world’s historic battles.
私の趣味、世界の歴史的戦いの戦略と戦術です。(ウィティカー)
バトルズ でなく、
バドルズ と聞こえます。
(ラリルレロっぽくも聞こえますが)

ウィティカーはかつてアメリカのウェストポイント陸軍士官学校に在籍したらしいので、アメリカ人という設定だと思います。

ちなみに、historic と似た言葉で historical があります。historic は、歴史的に有名[重要]な、で、historical は、歴史の上に実在する、とかです。この記事で勉強しました。

ムーンレイカーでは、
00時間58分07秒
I think you may find that a little difficult.
それはちょっと難しいかもしれない。(マヌエラ)
リトル でなく、
リドル と聞こえます。

話しているのは南米ブラジルの女性現地駐在員です。

■t が d になる原理

英語音声学入門(松坂ヒロシ著)によると、
アメリカ英語においては、[t] はしばしば有声化するとあります。
有声化には2通りあって、[d]になる場合と、弾音 flapped [ɾ] になる場合です。
ここでは、前者の説明をします。後者はこの記事の後の方で説明します。

[t] が [d] 化するのは、有声音にはさまれるた時、起きる現象です。
[t] は無声音です。[d] は有声音です。[t] や [d] を発音しつつ、のどを触ってみると、[t] は喉が震えてなく、[d] は震えてます。
そして、有声音に挟まれた [t] は、有声音→無声音→有声音、ということになり、切替が2度生じます。切替の回数が少なければ楽になります。こうして、[t] は [d] になります。desk の d と違い、破裂の弱い [d]だそうです。

破裂音=息の通り道を完全に閉鎖してから、そのふさがったところを急に開け、破裂を起こして発音するものです。例えば、[p] や [b] は両唇で、通り道を閉鎖してから、それを開けて発音します。実際に発音してみると、イメージがつかめると思います。
[t] や [d] は、歯ぐきと舌で通り道を閉鎖してから、それを開けます。

上記の用例では、bottled の[t]は [o]と[l]という有声音に挟まれてます。battles の[t]も little の[t]も同様に有声音に挟まれてます。

■t がラリルレロっぽくなる実例

慰めの報酬では、さきほど見たセリフですが、
01時間21分09秒
It’s bottled water.
これは瓶詰された水だ。(CIAのライター)
water は、
ウォーター でなく、
ウォーラー と聞こえます。

米国CIAのフェリックス・ライターのセリフです。

死ぬのは奴らだでは、
007はクォーレル・ジュニアの船で英国諜報員が殺されたという現場に向かってます。カナンガの部下で未来を言い当てるソリテアが言います。
彼がまた来ます。また暴力があるでしょう。今、近づいてます。
カナンガが聞きます。
00時間42分05秒
By land or water?
Water.
陸路か船でか?(カナンガ)
船でです。(ソリテア)

by land         陸路で.
by water        船で, 水路[海路]で
ルミナス英和・和英辞典

カナンガはウォーラーと言っており、ソリテアはウォーターと言ってます。
カナンガはアメリカで麻薬をさばいている男です。ソリテァはわかりません。

ムーンレイカーでは、
00時間19分49秒
It can go up to 20 Gs, but that would be fatal.
(宇宙飛行士訓練用装置は)20G まで行く、だけどそこまで行くと人は死ぬわ。(グッドヘッド博士)
フェイタル でなく、
フェイラル と聞こえます。

米国CIAの人間であるグッドナイト博士のセリフです。

私を愛したスパイの主題歌では、
00時間10分07秒  
And nobody does it better
誰も(あなたほど)上手じゃない
ベター でなく、
ベラー と聞こえます。

歌っているカーリー・サイモンは米国の歌手です。

ダイヤモンドは永遠にでは、
密輸を仲立ちする女性ティファニー・ケイスが密輸人に化けた007に言います。
00時間42分03秒
Peter.
ピーター(007が扮している密輸人の名前)(ティファニー・ケイス)

ピーター でなく、
ピーラー と聞こえます。

ティファニー・ケイスは母親が彼女をティファニーの1階で産み落としたそうで、それがニューヨーク本店なら、アメリカ人という事になります。

慰めの報酬では
00時間20分32秒
Get in.
(車に)乗って。(カミーユ)
ゲット イン ではなく、
ゲ リ ン と聞こえます。

カミーユは南米ボリビアの諜報部員です。

スカイフォールでは、
異国の地で、007は英国諜報部のビルがテロ攻撃にあったことをテレビで見ます。
00時間24分15秒
Early reports from the scene indicate at least six dead, many more injured, with victims being evacuated to local hospitals within minutes of the explosion.
現場からの速報では、少なくとも6名が死亡、さらに多くの負傷者がいる模様で、被害者は爆発のすぐ後に現地の病院に収容されてます。(アナウンサー)

ホスピタルズ でなく、
最後の l (l は小さい ゥ とか ォ といった感じがありますね)と合わさって、
ホスピロォズ と聞こえます。
CNNですから、アナウンサーはアメリカ人なのでしょうか。

scene       (普通は the ~) 現場
victim       犠牲者, 被災者, 被害者
evacuate      人・物〉を立ち退(の)かせる, 疎開[避難]させる

トゥモロー・ネバー・ダイでは、
スタンパーが007と協力している中国の女性諜報員ウェイ・リンを捕まえて、007の前に現れました。
01時間50分43秒
It’s over, Stamper.
Let her go.
もう終わったんだ、スタンパー、彼女を開放しろ。(007)
レット ハー ゴー ではなく、
レッ ラー  ゴー と聞こえます。

話しているのは007自身です。アメリカ人じゃないですね。

h が落ちて、t がラリルレロっぽくなり、レッラーゴー と聞こえます。
人称代名詞の h の発音はとかく落とされるのは、この記事で勉強しました。

■t がラリルレロっぽくなる原理

この [t] がラリルレロっぽく聞こえるのは、
英語音声学(松坂ヒロシ著)によると、
これは、flapped t と呼び、発音記号は[ɾ]だそうです。[r]じゃありません。私も初めてみた発音記号です。

音としては、声を出しながら舌を歯ぐきに1回だけたたきつけて作る。
店先で聞かれる威勢の良い「へい、らっしゃい」の「ら」が近い音だそうです。
日本語のラ行子音の調音位置は後ろだから、これを前にずらさないと[ɾ]にならないそうです。

better を例に説明があります。
better は元々[bɛ́tɚ]ですが、ɛ は母音だから有声音、t は無声音、ɚ は母音で有声音です。
有声音→無声音→有声音と続くと、切替が2回あります。切替が無い方が発音が楽なので、声を出しながら舌を歯ぐきに1回だけたたきつける有声音の[ɾ]になるそうです。

この[ɾ]になる条件は、二つあり、
①語中で、直前に母音があり、直後に強勢のない母音があるとき、
②語末で、直前に母音があり、直後に母音があるとき、
だそうです。

この知識を持って、007映画での用例をいくつか、振り返ってみましょう。

water では、①の、語中で直前に母音があり、直後に強勢のない母音があるとき (直前の a の所に強勢があります) 、ですね。
fatal では、① ですね。 (強勢は最初の a の所です)
( fatal は、詳しく調べると、直後に母音がない発音もあるようです)
better では、① ですね。 (強勢は最初の e の所です)
Peter では、① ですね。 (直前の e の所に強勢があります)
Get in では、[t] は、②の、語末で直前に母音があり、直後に母音があるとき、ですね。
Let her go.では、[t] は、②の、語末で直前に母音があり、直後に母音があるとき(h が消えた後です)、ですね。 

以上、[t] の音が [d] の音になったり、日本語のラリルレロっぽくなるのを勉強しました。

他に、[t] の音が、[n] の後で飲み込まれるのは、この記事で実例を、この記事で原理を勉強しました。
[t] の音が、直後に[p]、[b]、[k]、[g] の音が来ると飲み込まれるのは、この記事で勉強しました。
[h] の音が飲み込まれるのは、この記事で勉強しました。

007映画で英語を勉強して、300記事を超えました。好きな映画で英語を勉強するのは楽しいものです。この記事に全体の目次がありますので、ぜひともお好みの記事からご訪問ください。

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