007映画で英語の勉強 It is ~ that … (強調構文、形式主語 その1)

It is ~ that … で~の部分に主語・目的語・補語などの名詞・代名詞や副詞(句・節)を入れて、…するのは~だ と強調する、
that は省略される事もあり、また、強調するのが人の場合は、who を使う事もあり、と
ロイヤル英文法(綿貫 陽/宮川 幸久/須貝 猛敏/高松 尚弘 著)にあります。
例えば、
It was Tom that lost his watch.
時計をなくしたのはトムだった。
という感じです。

ややこしいのは似たような形をとる形式主語構文というのがあると言う事です。

ロイヤル英文法には、こんな事が書かれてます。
(that節を代表する)形式主語と言うのは、後続の that節 を代表して、文の形式上の主語になる it で、述部に比べて主部が長い文になるのを避けるために用いるもの。
that は省略される事がある。
It is a fact that the world is round. 形式主語
地球が丸いのは事実だ。
主部の that節とは、that the world is round です。
だから、
That the world is round is a fact.
こうなるわけですが、そうすると、
主部 that the world is round は述部 is a fact より長くなるので、それを避けるために、形式上の主語 it を使って、
It is a fact that the world is round. となると言っているのだと思います。

ルミナス英和・和英辞典で that を調べると、
文中で主語となる名詞節を導く
・That she once lived in Utah is true.
彼女が昔ユタに住んでいたというのは事実だ.
【語法】 このように that を文中で主語となる名詞節を導くのに用いるのは《格式》; 普通は形式主語の it を先頭にする.
・It is true that she once lived in Utah.
と書かれてます。

なるほど。
私自身、これまで、強調構文、形式主語の意識がをあいまいのままに英語を使ってきたような気がするので、007のセリフを例にして、ここで整理しようと思ってます。

ロイヤル英文法には強調構文と形式主語の区別の仕方が書かれてます。
(1)It is と that を取り除いて、完全な文になるなら、強調構文。
It was Tom that lost his watch.
から、It is と that を取り除きます。

It was Tom that lost his watch.
        ↓
    Tom   lost his watch.
文になってますね。強調構文ですね。

形式主語では、
It is a fact that the world is round.
        ↓
  a fact   the world is round.
これを見ると、the world is round で一つの文であり、 a fact は余りますね。通しで見ると、文になってませんね。
形式主語構文ということですね。
そういう事だったんですね。

(2)It is と that の間の語が形容詞類ならば、形式主語構文、名詞・代名詞・副詞(句・節)であれば、強調構文の事が多い。

It is true that he broke the record.
彼が記録を破ったのは本当だ。
形容詞なので、形式主語。

It was a police officer that signaled him to stop.
彼に止まるように合図したのは警官だった。
名詞なので、強調構文。

007映画のセリフで見ていきましょう。

強調構文

主語を強調

ロイヤル英文法にはこういう説明があります。
It is ~ that … の~の部分に主語・目的語・補語などの名詞・代名詞や副詞(句・節)を入れて、「…するのは~だ」と強調することがある。
James met Tom in the park yesterday.
この文の各要素をこの構文を用いて強調すると、次のようになる。
It was James that [who] met Tom in the park yesterday.
It was Tom that [who or whom] James met in the park yesterday.
It was in the park that James met Tom yesterday.
It was yesterday that James met Tom in the park .
主語の強調は、この内の
It was James that [who] met Tom in the park yesterday.
に相当するものです。

スペクターでは、
ブロフェルドは007を拷問してます。マドレーヌ・スワンにブロフェルドが話をします。
ジェイムズは若い時に両親を亡くしたんだ。(ブロフェルド)
01時間52分42秒
But did you know that it was my father who helped him through this difficult time?
私の父だったんだよ、この男がつらいときに助けた人間は。君は知っていたか?
(ブロフェルド)

it was my father who helped himで、
t was と who を取り除くと、
   my father   helped him
と完全な文になるので、強調構文ですね。また、my father は名詞です。
そして強調しているのが 人なので、who を使ってます。

日本語字幕(戸田奈津子さん)では、
つらい時期に彼を育てたのは私の父だった
となってます。

スカイフォールでは、
昔、任務を逸脱した英国諜報員で、今やテロリストのシルヴァが007につかまりました。
シルヴァはMを見ると、敵に捕らえられ、拷問されても頑張ったと言います。続けて、
01時間22分33秒
Until I realized it was you who betrayed me.
あなたなんだ私を裏切ったのは、と気づくまで(シルヴァ)

it was と who を取り除くと、
           you   betrayed me.
と完全な文になります。you は代名詞です。

ゴールデンアイでは、
007はついに敵のヤヌスと対面します。顔にやけどの傷を負ってます。007の昔の同僚でした。作戦の途中、007は時限爆弾のセッティング時間を変えたのです。それによるものです。ちなみにヤヌスとは二つの顔を持つローマの神様です。
01時間10分10秒
It wasn’t God who gave me this face, …
神じゃない、この顔にしてくれたのは…(ヤヌス)

It wasn’t と who を取り除くと、
     God  gave me this face.
と完全な文になります。God は名詞です。

ムーンレイカーでは、
007はアマゾンの遺跡に建設したドラックスの秘密基地にたどり着きます。ドラックスが007に説明します。
01時間25分11秒 
It was neither war nor pestilence that wiped out the race who built the great city lying around us.(007)
戦争でも疫病でもないんだ、ここに大都市を築いた種族を全滅させたのは、。(007)

it was と that を取り除くと、
   neither war nor pestilence   wiped out the race who built the great city lying around us.
と完全な文になってますね、強調構文ですね。war と pestilence は名詞です。

日本語字幕(菊地浩司さん)では、
ここに栄えた文明を滅ぼしたのは戦争でも疫病でもない
です。

pestilence    疫病, (悪性の)流行病, ペスト
(ルミナス英和・和英辞典)

ロシアより愛をこめてでは、
スペクターの殺し屋と007が会話してます。007は今までの陰謀はソ連がしかけたものだと思ってました。
01時間29分17秒
Then it was SPECTRE who killed the Russian agent in the mosque.
それじゃあ、スペクターだったんだ。モスクワでソ連の諜報員を殺したのは。(007)

it was と who を取り除くと、
Then    SPECTRE  killed the Russian agent in the mosque.
と完全な文になってますね。SPECTREは名詞です。

強調構文で主語を強調するのを見てきました。

まだまだ、強調構文と形式主語は、007ではいっぱいあります。
続きは別の記事で。

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