007で英語の勉強 Using the Smart Blood, I’ve tracked Bond. スマート血液を使ってボンドを追跡した 分詞構文(前編)

分詞構文の ~ing … の意味は、世界一わかりやすい英文法の授業(関正生著)によると、
分詞構文の本質は適当に意味をボカすこと。
一般の参考書には、
1.時、2.原因・理由、3.条件、4.譲歩、5.付帯状況、とか
書かれているが、そんな事は覚えなくて良くて、覚えちゃだめで、条件、譲歩になる事はまずなくて、要は文の前か真ん中に出てくれば、「て」、「で」、後ろに来たら、「そして」、「~しながら」、と訳せばよいとあります。
Seeing a policeman, he ran away.
警官を見て、彼は逃げた。
Every morning I wake up saying, “I’m alive, it’s a miracle.”
毎朝起きて、そして私は言う。「今日も生きている。奇跡だ」

文の前とは、~ing …, 主語+動詞。
文の中とは、主語、~ing …, 動詞。
文の後とは、主語+動詞、~ing …。
です。

英文法解説(江川泰一郎著)には、
なお、分詞構文を時・理由に分けたのは、分詞を含む文全体からそういう意味が出てくるのであって、分詞自身にそういう意味があるわけではない。
とあります。関正生さんの話と整合すると思います。

007映画のセリフで見ていきましょう。

■文の前、中

スペクターでは、
Qに、スマート血液という居場所を知らせる発信器を血液中に埋め込まれた007は、スペクターを追って、マドレーヌ・スワンと砂漠に向かってます。
マニペニーと Q が、夕食中の M のところに情報を持ってきます。
01時間29分54秒
Using the Smart Blood, I’ve tracked Bond to a point here in North Africa.
スマート血液を使って、ボンドを追跡しました。ボンドは北アフリカのここにいます。(Q)

「て」、でうまく訳せました。

オクトパシーでは、
ドイツの米軍基地で開催されるサーカスで核爆発を起こそうとして、カマル・カーンは、部下に時限装置をセッティングさせているところです。
01時間40分19秒
The performance begins at 3:00.
Allowing for delays, set the bomb to detonate at 3:45.
We must leave the base by 3:15.
サーカスは3:00時に始まる。(カーン)
遅れを考慮して、3:45に爆発するようセットしろ。(カーン)
3:15には基地を出なくちゃならないぞ。((カーン)

allow for…      …を考慮に入れる; …を見込む.
遅れを見込んで、爆弾は 時にセットしよう。
Allowing for the roads being crowded, I started early. 道路が混んでいるのを見込んで, 私は早目に出た.
detonate        爆発する
ルミナス英和・和英辞典

「て」、でうまく訳せました。

スカイフォールでは、
MI6に対してハッキングのテロをやっていたシルヴァのコンピュータを Q が分析してます。
01時間26分09秒
Now, looking at Silva’s computer, it seems to me he’s done a number of slightly unusual things.
He’s established failsafe protocols to wipe the memory if there’s any attempt to access certain files.
シルヴァのコンピュータを見て、私には、彼がおかしな事をいろいろやっているように見える。(Q)
もし、誰かがあるファイルにアクセスすると、メモリを消すと言うフェイルセーフなプロトコルを確立している。(Q)

「て」、でうまく訳せました。

ムーンレイカーでは、
007は毒ガスの研究室を見つけます。翌日、上司Mとグレイ国防相を伴って、ガスマスクをつけて入って行くと、研究室は跡形もなく無くなって、瀟洒な部屋になっており、敵のドラックスが何もなかったように普通にいます。
007や国防相を知っているドラックスが言います。
フレデリック・グレイ、これは驚いた。
著名なお仲間たちといっしょに、皆さんガスマスクをつけながら。
00時間54分05秒
You must excuse me, gentlemen, not being English, I sometimes find your sense of humor rather difficult to follow.
皆さん申し訳ないが、私は英国人ではないので、そのユーモアのセンスになかなかついていけませんよ。(ドラックス)

「で」 で、うまく訳せました。
否定の分詞構文ですので、not を前に付けてます。

ちなみに、company はここでは仲間ですが、他にもいろいろ用法があります。この記事で勉強してます。

ワールド・イズ・ノット・イナフでは、
007は石油王ロバート・キングの金を取り戻して、MI6でキングに渡しました。007が M と酒を飲んだ時、氷に触った手にあぶくが生じてます。
札束には、爆薬がしかけられていたのです。キングは爆死します。
タナーがその後、分析結果を報告してます。
紙幣は尿素に浸けられていたので、それ自身が爆薬だった。(タナー) 
00時間17分47秒
Having handled the money, the water on 007’s hands, when he touched the ice, started a chemical reaction.
その紙幣に触れていたので、007の手の水は、氷に触った時に化学反応を起こした。(タナー)

続く文の時より、以前の時を表す時は、Having+過去分詞 の形になります。

ロイヤル英文法(綿貫 陽/宮川 幸久/須貝 猛敏/高松 尚弘 著)に完了形の分詞の解説が載ってます。
完了形の分詞は、文の述語動詞の表す時より前の時を表す。
Having lost all my money, I had to give up m plan.
お金をすっかりなくしてしまったので、私は計画をあきらめなけらばならなかった。
ただ、追記もあって、
特に前の動作の完了を強調したり、意味があいまいになったりするのでなければ、完了形にする必要はない、
Opening the bottle, he poured the wine into my glass.
びんのせんを抜くと、彼は私のグラスにワインをついだ

ここでも、「で」、でうまく訳せました。

カジノ・ロワイヤルでは、
007はル・シッフルをカード・ゲームで破産させるために、カジノに向かってます。途中で、賭け金を管理する財務省のヴェスパー・リンドと合流します。 ヴェスパーはこの計画に賛成してないせいか、とげとげしいやり取りになります。
ヴェスパーが言います。
01時間01分20秒
Now, having just met you, I wouldn’t go as far as calling you a cold-hearted bastard.
会ったばかりなので、あなたを心の冷たい嫌な奴とまでは言わない。(ヴェスパー)

日本語字幕(戸田奈津子さん)では、
初対面だから 冷血男と呼ぶのは遠慮しておくわ。
となってます。

「で」 で、うまく訳せました。

bastard       [軽蔑] いやなやつ, むかつくやつ《普通は男》
ルミナス英和・和英辞典

ネバーセイ・ネバーアゲインでは、
スペクターが核弾頭を盗み出し、西側諸国を恐喝しました。
久しぶりの出番となった007と武器係 Q の会話です。
Q は最近の仕事場に関する愚痴を007に言います。
00時間42分29秒
Bureaucrats running the old place, things done by the book.
Can’t make a decision unless the computer gives you the go-ahead.
官僚が昔からのこの場所を経営して、物事は規則通りに実行されて、コンピュータがOKを出さないと決断を下せない。(Q)

book   the ~ で規準, 規則
give go-ahead   OKを出す
ルミナス英和・和英辞典

ここでも、「て」、でうまく訳せました。

ところで、今回は running the old place の前に bureaucrats という主語が入ってます。
英文法解説(江川泰一郎著)にこうあります。
分詞の意味上の主語と文の主語が一致しないときは分詞の主語を添えて明示する必要があり、これを独立分詞構文という。
Other things being equal, the difference in price shuld be decisive.
ほかの条件が同じなら、値段の違いが勝負になるはずだ

今までの007映画の文例では、分詞の前に主語はありませんでした。
Using the Smart Blood, I’ve tracked Bond to a point here in North Africa.
にあるように、分詞上の主語と文の主語は同じでした(この場合、I)。ですから、分詞の前に主語は付きません。
You must excuse me, gentlemen, not being English, I sometimes find your sense of humor rather difficult to follow.
にあるように、分詞上の主語と文の主語は同じ I です。ですから、分詞の前に主語は付きません。
Allowing for delays, set the bomb to detonate at 3:45.
続く文が命令文で形の上では主語はありませんが、事実上我々が設定し、その我々が遅れ時間を考慮するのだと思います。ですから主語が一致し、分詞の前に主語が付かないのでしょう。
Now, looking at Silva’s computer, it seems to me he’s done a number of slightly unusual things.
続く文の主語は形の上では、it になりますが、事実上は 私 でしょう。私にはおかしなことをしていると見え、シルヴァのコンピュータを見るのも私なので、分詞の前に主語は付かないのでしょう。

このネバーセイ・ネバーアゲインの Q のセリフの場合、分詞だけで文は終わってますので、次に続く文との関係で考えてもよいと思います。続く文の主語が you で、running the old place しているのは bureaucrats であるので、主語が一致しないから入っているのだと思います。
(続く文の主語が示されてませんが、文の後半に gives you があるので、You can’t make a decision だと思います。
また加えて、この you は会話の話相手を表すわけでなく、一般の人を表す用法だと思います。総称人称と言って、この記事で勉強してます。)

ちなみに、things done by the book ですが、これも分詞構文です。今回は現在分詞を使った分詞構文を勉強してますが、過去分詞(done)を使った分詞構文もあるのです。

私を愛したスパイでは、
英国とソビエトは連携して、潜水艦行方不明事件を追う事になり、007とソ連の女性諜報部員アニア・アマソワは行動をともにします。
サルディニアのホテルのチェックインです。
ホテルの受付嬢が言ってます。
スィートA5をご用意しました。
リビング・ルームが一つに、ベッド・ルームが二つ。
007はアニアに向かって言います。
01時間03分11秒
Moneypenny being a little over-efficient.
Do you have any messages for me?
マニペニーは少し有能すぎるので。(007)
私にメッセージは届いてないですか?(007が受付嬢に向かって)

分詞の前に主語が付いてます。次のセリフは別の話になっているので、分詞の後に続く文がありません。ないので補って考えると、きっと we have two bedrooms でしょう。そうなると、being a little over-efficient の主語は Moneypenny なので、主語が分詞の前に付くのでしょう。「で」、うまく訳せてます。

ゴールドフィンガーでは、
ゴールドフィンガーはフォートノックスの襲撃計画をギャングたちに説明してます。
夜明けに、24時間意識を失わせるガスを上空からまく、
01時間11分28秒
Once the population, including the military, has been immobilized, my task force, …
いったん、その地域の住民が、軍隊も含めて、動けなくなったら、私の機動部隊が、…
the population     (ある地域の)住民
immobilize       〈…〉を動けなくする
task force        (特殊任務をもつ)機動部隊
ルミナス英和・和英辞典

今までは、~ing …, 主語+動詞、と文の前でしたが、これは、主語、~ing …, 動詞、というの文の中に分詞が入る形です。

「て」、でうまく訳せました。

長くなりましたので、次の記事に続きます。

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